初っ端から銀行強盗事件

第五章 〜IN 病院〜  一節


 …………水の音?
 皓彗は眼をあける。しかし、そこは薄暗くて周囲がよく見えない。

ドボオォォォォンっ

 音が鳴る。何かが水に落ちる音が。
 自分が沈んでいる感覚と同時に認識した。
(あの夢か……)
 横を見ると見慣れた機械の残骸があった。それにまぎれて動かなくなった人達も……。
 それらは次々と底の見えぬ海へと落ちていく。あの奥にはまぎれもなく何かがいる。そう確信していた。
 けれど、抗う気力など獅童はとうになかった。このまま自分も一緒に落ちていけばいい、そう思った瞬間、強く何かに引っ張られる。
 あの時も経験した何か。
 しかし、見えない。
 獅童は一気に上へと、輝く光の中へと放り投げられたのだった――

 

 

 

第五章 〜IN 病院〜 二節に続く
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