みっつめの鬼がくるぞ みつめの鬼がくるぞ
海のうなばら こどもが あそぶうなばら
はだしでかける げんきに はしる
ははおや ちちおや こどもはあそぶ いっしょにあそぶ
しかし いいつけまもらぬ こどもがいるぞ
ははおや さけぶ ちちおや おこるぞ
それでも こどもは きかずにあそぶ うなばらあそぶ
しめた しめたぞ なみは ニタニタ ニタニタ
こども ひとり なみは さらう 足を さらう
やった やったぞ こどもは 海のなかへおちていく
そのまま みっつめの鬼がいる場所へ
はこんでやろう そうしよう
ざざざ ざざざっ と なみは わらった
どこだ どこだ ここは どこだ
うみにすなはま けれど どこかちがうぞ
ぼくとおなじくらいの子しか いない
なんでだ なんでだ
ままはどこだ ぱぱはどこだ
おとなはいないぞ なんでいない
ちかくの おんなのこは うずくまっている
みんな みんな うずくまって なにかしている
しゃがんで のぞく みんな すなで あそんでいた
ぶきみ ぶきみ
ぼくは うみへ はしった すなはまから にげる にげる
しかし なみが じゃまをする
じゃぶじゃぶ ぶくぶく じゃぶじゃぶ ぶくぶく
海のなかから 音がする
くらい くらい うみのなかから 大きなおめめが みっつ
ぼくの ほうを ぎょろぎょろ みている
こわくなって ぼくは すなはまへ にげる にげる
うみから みっつめ はいあがる
こわい こわい 鬼だ みっつめの鬼だ
でかいぞ でかいぞ こわい こわい
ほかの子も さけんで なく それでも すなで あそんでいる
鬼は 大きなくちで さけぶんだ
「砂の城を 作れ!! 壊してやるぞ!!」
そして 鬼は ひとり ひとり たずねて こわす
いっしょうけんめい つくった おしろを こわしていくんだ
みんな また つくりだす
シクシク シクシク 泣きながら
おれは こわく なって 鬼が すなはま ずんずん すすんだ
ぎゃくへ はしった はしった
なみが じゃまする うみへ はしった
どこだ どこだ わるいこ どこだ
家に帰りたきゃ 城をつくれ じょうぶな 城を つくるんだ
ケタケタ ザブザブ 鬼はさけぶ
やくそく まもると ケタケタ さけぶ
波は ざぶざぶ ざぶざぶ すなを ながす
こどもが いっしょうけんめい つくった
砂の城を ざぶざぶ ながす
ざんねん ざんねん じょうぶじゃなかった
どしどし どしどし 鬼は あるく
しんどうで すなが くずれる くずれる
ざんねん ざんねん じょうぶじゃなかった
鬼は びゅんびゅん びゅんびゅん かなぼう ふりまわす
すなが ざーざー ざーざー とんでいく
ざんねん ざんねん じょうぶじゃなかった
おやおや おやおや なみをこえて にげる餓鬼がいるぞ
わるいこ わるいこ みつけた みつけた
じょうぶな 城を つくらない わるいこ みつけた
おには わらう なみも わらう
ケタケタ ケタケタ ザザザ ザザザ
うみから ぎょろり みっつめがもう一つ
わるいこ にがさぬ ざんねん ざんねん
ひょいと つかまえ ぱくりっ
もぐもぐ ごくり
わるいこ さいごは 鬼の胃袋へ入っていくんだ
さぁさ わるいこに なりたく なければ
城をつくれ じょうぶな城をつくるんだ
鬼はそうさけびながら 歩いては こわす
それを みながら 波は 嗤う
こっけい こっけい
だって 結局は 帰れないんだもの
みんな わるいこだから
さぁて 次のわるいこさらってこよう!
了
2015/9/9 彩真 創
ーー天狼の涙雲は朧となるーー
に先に掲載、後にこちらに移行。