――管理室
獅童の勘はずばり的中していた。
幸吉銀行内を全て監視し、統制する管理室。
そこには一人の男がいた。
いくつかのモニターに映る仲間たちの姿と、怯えた人々を見て彼はほくそ笑む。
しかしすぐにまだ油断してはダメだと叱咤した。
そう、まだゲームは始まったばかり。
いかなる状況に陥ったとしても、冷静に対処しなければならない。
この日のために、起こりうる全ての障害を予想し、シミュレートした。
目的のためには多少の犠牲も構わない。
手始めに警備員は全員気絶させた。
唯一の出入口も通信回線も遮断した。
表の玄関にはメンテナンスのため臨時休業と張り紙を貼らせておいた。
そしてジャミングを流し携帯の電波でさえ、外で待機している仲間に遮断させた。
念入りに立てたこの計画。
どこにも穴がないはずだ。
後は仲間たちがうまく実行するだけだった。
そして次の段階の合図をする。
肘椅子に腰掛けながら、画面のモニターを眺め、彼はその時を待っていた。
そんな彼の背後では、ゆっくりと終焉が近づいていることも知らずに……。