――いつもの湖
わたくしとカシアだけでなく、後ろの方にお魚さん達が、なぜかひっそりとのぞき見ています。
うぅ〜。変わって下さってもいいのに……。もうわたくしは心臓がバクバクいって、酸欠状態ですのに……!
わたくしは草原に震えながら正座をし、カシアはぶらぶらと立って私の目の前に座りました。
「セレ、友だちになってくれる?」
上目遣いに率直に聞かれます。
わたくしは、数回深呼吸します。そして、彼女の目を見て、わたくしの心を正直に打ち明けました。
「友だちになりましょう」
「ホント!!!」
「ただし、条件がございます」
カシアの表情が嬉しさと戸惑いの表情を浮かべます。後ろはなぜだかどよめきが。
「一応、わたくしとカシアは、種族が違うので結婚が成り立ちません。本当の友だちになれないのです。ですが、いつの日か、カシアにとって、すばらしい殿方に巡り会える日まで、わたくしがカシアの、偽物ですが本物と同じくらいの友だちでいましょう」
「つまり、友だちになってくれるんだよね?」
「えぇ」
必死に寝る間もおしんで出した答えがこれでした。
こんなのでいいのでしょうか……?
カシアの表情を窺おうとした瞬間、わたくしは湖に落ちていました。正確にはカシアに飛びつかれ支えきれずに落ちたのですが……。
「セレ、ありがとう!」
とても嬉しそうに、彼女はわたくしにいいます。
これで、よかったようです。ほっとしました。
後ろで見ていたお魚さん達も拍手しています。祝福はよろしいのですが……、でも今はありがたく受け取っておきましょう。カシアも喜んでるようですし。
頼りないわたくしですが、カシアに良き伴侶ができる日まで、わたくしが全身全霊守っていきたいと思います。