第二話  〜プロローグ〜

 

 ――この世界は醜い。
 弱きものを騙し、しいたげ、全てを奪い、いたぶり回す。
 富めるものを襲い、殺し奪う。
 旅をし続けるつどそれを鮮明に目撃する。
 嘆くのは人だけでない、見えないものも人間がもたらす災厄に悲痛の叫びをあげる。

 なぜ、この世界はこれほど醜い?
 問いても答えは返ってこない。そう思っていた。
「ねぇ、すごいよ、ラグ! 岩と岩の間に花が咲いてる! これ、何の花だろう。とてもきれいだね!!」
 お前の笑顔の方がとてもきれいだ……。
 あぁ、この世界にはまだお前がいる。眩しいくらい清らかなお前が。

 たとえこの世界が醜くとも、お前がこの世界をきれいだと思うのなら、私はお前を守ろう、火絆(コキ)。
 襲い来る世界の闇から、どんな手を使っても……

 

 
第一章へ続く……
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