――この世界は醜い。
弱きものを騙し、しいたげ、全てを奪い、いたぶり回す。
富めるものを襲い、殺し奪う。
旅をし続けるつどそれを鮮明に目撃する。
嘆くのは人だけでない、見えないものも人間がもたらす災厄に悲痛の叫びをあげる。
なぜ、この世界はこれほど醜い?
問いても答えは返ってこない。そう思っていた。
「ねぇ、すごいよ、ラグ! 岩と岩の間に花が咲いてる! これ、何の花だろう。とてもきれいだね!!」
お前の笑顔の方がとてもきれいだ……。
あぁ、この世界にはまだお前がいる。眩しいくらい清らかなお前が。
たとえこの世界が醜くとも、お前がこの世界をきれいだと思うのなら、私はお前を守ろう、火絆(コキ)。
襲い来る世界の闇から、どんな手を使っても……